保育士が知っておきたい児童家庭福祉の法律

児童家庭福祉をより充実させるための法律

母子保健法

母子保健法は、お母さん、そして子ども(乳幼児)の健康の保持や促進を図り、
保健指導や健康診査、医療などの措置について定められたものです。

 

戦後、児童福祉法及び地域保健法に基づいて推進されてきた母子保健対策でしたが、
20年ほどたっても乳児や妊産婦などの死亡率は、
先進諸国と比較すると高い状態が続いていました。

 

また、乳幼児や母親を巡る家庭環境や社会環境は次第に変化してきたため、
今までの母子保健対策では限界であることが明らかになりました。

 

このようなことから、母子保健を総合的に、
そして体系的に推進する新たな法律が求められる様になり、
そこで制定されたのが、1965年(昭和40年)の母子保健法です。

 

母子保健法の目的は、母性および乳幼児の健康の保持と増進を図ることとして制定されています。

 

母子保健法の第二条において、母性尊重の理念が述べられています。

 

「母性は、すべての児童が健やかに生まれ、かつ、育てられる基盤であることにかんがみ、
尊重され、かつ、保護されなければならない。」

 

また、第三条では、乳幼児の健康の保持増進が述べられています。

 

具体的な母子保健向上のための措置としては、以下のようなものがあります。

 

 ・母子保健に関する知識の普及。
 ・母子健康手帳の交付。
 ・妊産婦等への保健指導。
 ・妊産婦・新生児の訪問指導。
 ・乳幼児の健康診査。
 ・未熟児に対する訪問指導と養育医療の給付。

児童虐待の防止等に関する法律

日本にある子どもの福祉を守る法律といえば「児童福祉法」です。

 

児童福祉法は、18歳までの児童が対象となっています。

 

戦前は、児童虐待防止法によって、
戦後派児童福祉法によって児童虐待問題に関する対策がとられていました。

 

しかし、児童虐待問題は増加し、深刻化しています。

 

そして、児童虐待に気がついたとしても
通報をしない、通報したいけれどどう対処すべきなのか分からないと言う
人も多くいました。

 

このようなことから、児童福祉法による対応だけでは、
効果的な対応ができないということが明らかになり、
「児童虐待の防止等に関する法律」が2000年に制定されました。

 

児童虐待の防止等に関する法律は、虐待の防止、早期発見、早期保護、
保護者に対する指導、関係機関の連携等の体系的対応を可能にするなどの目的があります。

 

*児童虐待とは

 

 児童虐待の定義とは、第二条で保護者が児童に対し、
以下のような行為をすることす。

 

 1 児童の身体に外傷が生じ、または生じる恐れのある暴行を加える事。
 2 児童にわいせつな行為をすること又は児童をしてわいせつな行為をさせること。
 3 児童の心身の正常な発達を妨げるような著しい減食又は長時間の放置、
  保護者以外の同居人による身体的虐待、
  性的虐待又は心理的虐待の保護者による放置、
  その他の保護者としての監護を著しく怠ること。
 4 児童に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応、
  児童が同居する家庭における配偶者に対する暴力、
  その他の児童に著しい心理的外傷を与える言動を行なうこと。

 

児童虐待の防止等に関する法律は、2008年に改正されていますが、
この改正では、この法律の目的として自動の権利擁護に資することが明記するなど、
子どもの権利についてが強調されています。

 

その上で、児童虐待の防止等に関する法律には、以下の内容が定められています。

 

 ・国および地方公共団体は、児童虐待の予防、早期発見、虐待を受けた児童の
 迅速な保護と自立支援、親子の再統合等のための体制整備につとめなければならない。

 

 ・国及び地方公共団体は医療の提供体制の整備と、
 重大な被害を受けた事例の分析を行い、
 児童虐待の防止と調査研究と検証を行なうこと。

 

 ・市町村長または都道府県の設置する福祉事務所所長または児童相談所長は
 児童虐待を受けたと思われる児童の安全確認のために必要な措置を講じること。

 

 ・学校、児童福祉施設、病院、児童福祉団体およびその職員、医師、保健師、
 弁護士等は児童虐待の早期発見に努めなければならない。

 

 ・児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、
 速やかに都道府県の設置する福祉事務所もしくは児童相談所等に通告しなければならない。

 

 ・通告を受けた児童相談所は関係者の協力を得て、
 当該児童の安全確認に務め、必要に応じ一時保護を行なうこと。
 この際、必要に応じ、警察の援助を求めること。

 

 ・児童虐待を行なった保護者は、児童相談所が必要と認めた場合には、
 その指導を受けなければならない。
 またそれらの保護者に対して行なった指導や勧告に従わなかった場合には、
 都道府県知事が子どもを一時保護や施設への強制入所等の必要な措置を講ずる。

 

 ・児童虐待を行なった保護者が著しく児童の福祉を害する場合には、
 必要に応じて適切に親権喪失宣言の請求を家庭裁判所に行なうこと。

 

 ・虐待を受けたため施設入所等の措置がとられた児童に対する保護者の面接や
 通信の全部または一部を制限する事ができる。

 

 ・市町村は、保育所入所児童の選考に当たり、
 児童虐待防止に寄与するための特別な配慮をしなければならない。

 

 ・政府は、この法律の施行後3年以内に、児童虐待の防止等を図り
 児童の権利利益を擁護する観点から親権に係る制度の見直しについて
 検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

母子及び寡婦福祉法

1937年、母子家庭を援助するための法律として、
母子保護法が制定されました。

 

しかし、1946年に、生活保護法制定に伴い廃止されています。

 

ですが、経済的に不安定な状況の中で、
児童を養育する母子家庭に対しては生活保護法による対応だけでなく、
その生活基盤を安定させるための特別な対策の必要性が求められました。

 

そこで、1952年、母子福祉資金の貸付等に関する法律が制定され、
1961年には児童扶養手当法が制定されています。

 

1964年には「母子福祉法」が成立し、
母子福祉資金貸付制度もその中で規定されることになりました。

 

1981年には、寡婦に対する福祉援助施策も抱合した
母子及び寡婦福祉法に改正されています。

 

また2002年の法改正で、法の対象が母子家庭等(母子家庭、及び父子家庭)と寡婦になりました。

 

つまり、父子家庭もこの法に定める日常生活支援事業の対象に含まれる事になったのです。

 

母子及び寡婦福祉法の基本理念は、第二条で以下のように述べられています。

 

 第二条:  すべて母子家庭等には、児童が、その置かれている環境に関わらず、
      心身ともに健やかに育成されるために必要な諸条件と、
      その母等の健康で文化的な生活とが保障されるものとする。

 

       寡婦には、母子家庭等の母等に準じて健康で文化的な生活が保障   
      されるものとする。

 

この母子及び寡婦福祉法では、
母子福祉資金の貸付が、母子家庭に対する福祉の措置の中心となっています。

 

 *母子福祉資金

 

  ・事業開始資金
  ・児童の修学資金
  ・知識技能習得資金
  ・その他

 

母子福祉資金には、このようなものがあり、
これらの資金が必要に応じて無理し、または低利で貸付されます。

 

また、母子及び寡婦福祉法には、「母子家庭等の児童の保育所入所に関する配慮」、
「母子家庭及び寡婦に対する相談指導を行なう母子自立し延引」、
「母子福祉施設」などがの内容も定められています。

児童扶養手当法

1959年、国民年金法が制定されました。

 

この国民年金法により、母子年金、準母子年金、母子福祉年金等の年金制度が創設されました。

 

ですが、この年金制度は、死別母子家庭だけに支給される年金でした。

 

ですから、それを補うものとして、生別母子家庭にも
手当を支給するための法律が必要になり、
児童扶養手当法が1961年に制定されています。

 

1961年の制定当初は、手当支給対象児童は義務教育終了まででした。

 

しかし、1976年からは18歳までに拡大されました。

 

その後、離婚母子家庭が増加し、受給者が増えました。

 

財政的事情により1985年の改正法によって、
受給資格者の所得に応じ、手当を2段階にすることになりましたが、
その後の法改正によって、所得に応じた手当額の設定はさらに細かくなっています。

 

また、ひとり親家庭の家計の支援のため、今までは母子家庭のみが対象でしたが、
2010年の改正からは、父子家庭にまで拡充しています。

 

*児童扶養手当法の「児童」とは

 

児童扶養手当法の「児童」の定義は、「18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある者、
または20歳未満で政令で定める程度の障害の状態にある者」です。

 

*児童扶養手当法の対象

 

 1 父母が婚姻を解消した児童
 2 父または母が死亡した児童
 3 父または母が法令で定める程度の障害の状態にある児童
 4 父または母の生死が明らかでない児童
 5 その他前各号に準ずる状態にある児童で政令で定める者

 

*児童扶養手当法の手当額

 

児童扶養手当法の手当額は、2011年度現在で、児童一人の場合は月額最高で41550円。

 

児童が二人以上の場合は一定額が加算される仕組みになっています。

 

ただし、公的年金との併給制限があり、
受給資格者の所得が一定額以上の場合は、
手当の全部、或いは一部が支給停止になります。

 

特別児童扶養手当等の支給に関する法律

1964年重度精神薄弱児扶養手当が制定され、
1966年に重態身体障害児も手当支給の対象となることになりました。

 

この1966年の改正で、法律名も「特別児童扶養手当法」となり、
その後、障害児福祉手当、特別障害者手当も抱合する法律に改正され、
現在の「特別児童扶養手当等の支給に関する法律」となっています。

 

特別児童扶養手当等の支給に関する法律によって支給される手当には、
以下の3種類があります。

 

 1 特別児童扶養手当

 

   障害児(20歳未満で、一定の障害の状態にある者)を監護する父母等に対して支給する手当。

 

   1級(重度)の障害児については5万550円、
  2級(中度)の障害児については3万3670円が支給(平成23年度現在の月額)。

 

 2 障害児福祉手当

 

   重度障害児(障害児のうち、重度の障害の状態にあるため、
  日常生活において常時の介護を必要とする者)に対して支給するもの。

 

   手当の額は、1万4330円(平成23年度現在の月額)。

 

 3 特別障害者手当

 

   20歳以上であって、著しく重度の障害の状態にあるため、
  日常生活において常時特別の介護を必要とする者に対して支給するもの。

 

   手当の額は、2万6340円(平成23年度現在の月額)。

 

この1・2・3のいずれについても、受給資格者などに一定額以上の所得がある場合は、
支給が停止されます。

児童手当法

他の社会保障制度が概ね整い、
児童養育家庭における生活の安定などを目的とする児童手当制度が必要になってきました。

 

そこで、1971年、児童手当法が制定されました。

 

1971年当初は、第3子から支給対象で、
支給期間は義務教育終了まででした。

 

その後、対象児童、支給期間、手当額などについて、
何度も改正が行なわれ、現在のようになっています。

 

2010年3月に、平成22年度における子ども手当の支給に関する法律を、
時限立法として成立させました。

 

そして、今までの児童手当制度を拡充した形態で
中学校卒業者までを対象に「子ども手当」と支給してきました。

 

ですが、2011年3月に東日本大震災が発生し、
その復興財源確保等の問題もあったことから
2012年4月以降の制度のあり方と給付内容について、国で見直しと検討がされています。

就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律

近年は、保育ニーズが多様化しています。

 

それは、日本の子どもや子育てに関わる社会構造が大きく変化したことにありますが、
たとえば、少子化が急速に進み、子どもの集団活動や異年齢交流の機会が少なくなったり、
保護者に対する子育て支援が必要になっているなど、
今までの保育では、ニーズに応えることが難しくなっています。

 

そこで、2005年から「就学前の教育・保育を一体として捉えた一貫した総合施設」
のモデル事業が試行されてきました。

 

そして、都道府県知事の認定による「子ども園」を法定化することを目的とし、
2006年に就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律が制定されました。

 

認定子ども園として認定を受ける施設は、以下の4種類があります。

 

そして、4種類のいずれもが、子どもの教育・保育だけでなく、
保護者に対する子育て支援を行うことが求められています。

 

 1 幼保連携型: 幼稚園と保育園が一体となって教育・保育を行なう

 

 2 幼稚園型: 幼稚園が保育に欠ける子どもの保育も行なう

 

 3 保育所型: 保育所が保育に欠ける子ども以外も保育し、
        幼稚園的な機能も果たす

 

 4 地方裁量型: 無認可の教育、保育施設が認定子ども園としての機能を果たす

 

認定子ども園への入園は、保護者と園との直接契約で、
利用料は園が設定します。

 

しかし、認定子ども園の職員の配置や資格、その他の具体的な認定基準は、
国の方針に基づいて都道府県が決定します。

児童家庭福祉に関連する主な法律/少年法

少年法の主な目的は、少年(20歳未満の者)の健全育成と、
非行少年の性格矯正、及び環境調整に関する
保護処分を行なうことです。

 

少年法において非行少年は、以下のように分けられます。

 

 犯罪少年: 罪を犯した14歳以上の少年
 触法少年: 14歳未満で、刑罰法令に触れる行為をした少年
 虞犯少年: 保護者の正当な監督に服しない等の理由があり、
      将来、犯罪または触法行為をする恐れのある少年

 

触法少年と14歳未満の虞犯少年については、
児童福祉法の措置が優先します。

 

ですから、それ以外の少年が「少年法」による処分の主たる対象になります。

 

少年法による処分の実施の中心機関は、家庭裁判所です。

 

家庭裁判所は、審判に付するべきあるとして警察官等から通告された少年について、
調査官による調査結果、少年鑑別所の鑑別結果等を活用し、
審判不開始、不処分、知事または児童相談所長送致、検察官送致、
保護処分のいずれかの処分を行ないます。

 

 *保護処分の種類

 

  ・保護観察所の保護観察
  ・児童自立支援施設への送致
  ・児童養護施設への送致
  ・少年院への送致

児童家庭福祉に関連する主な法律/教育基本法

教育基本法は、わが国の教育の基本的理念や方針等を定めた法律です。

 

第一条: 教育の目的

 

 教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として
必要な資質を備えた心身共に健康な国民の育成を期して行なわなければならない。

児童家庭福祉に関連する主な法律/学校教育法

学校教育法は、学校教育の目的や内容などについて定められた法律です。

 

幼稚園や特別支援学校、特別支援学級についてなど
保育問題や障害児福祉問題と関係が深い内容についても、
学校教育法の中で規定されています。


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