保育士が知っておきたい児童家庭福祉の法律

児童福祉法制定の経緯

児童福祉法制定の経緯

第二次世界大戦における敗戦は、日本の社会に深刻な打撃を与えました。

 

そして、その最大の被害者は子どもでした。

 

戦災孤児、引揚孤児が街に溢れ、
生きるために盗みをするなどの非行児童も増えました。

 

そのため政府は、このような児童を保護するための法律制定の必要を指摘しました。

 

そして、法案を作成し、中央社会事業委員会に諮問をし、
委員会は検討する中で、要保護児童の保護だけを目的とした政府の法律案に疑問を持ち、
すべての児童を対象とすることにしました。

 

すべての児童を対象とする福祉を積極的に増進する事を目的とした
法律の制定が必要であるという答申をした委員会に対し、
政府は法案を練り直し、法律名を「児童福祉法」としました。

 

1947年8月の国会に提出された「児童福祉法」は、
同年1947年の11月に国会を通過し、児童福祉法が誕生しました。

 

この児童福祉法は、すべての児童の健全育成と福祉を図るという
新しい考えを基にした画期的な法律でした。

児童福祉法の内容

児童福祉法の構成は、第一章「総則」、第二章「福祉の保障」、
第三章「事業、養育里親及び施設」、
第四章「費用」、第五章「雑則」、第六章「罰則」の合計6章になっています。

 

第一章第一条では、児童福祉の理念が述べられ、
第二条では児童の健全育成に対する公的責任が明確化され、
第四条では児童についての定義が定められています。

 

 また、第一章では、児童福祉審議会、児童相談所、児童福祉司、
児童委員、保育士等について定めています。

 

  *児童福祉の理念

 

 第一条  すべての国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、
     且つ、育成されるように努めなければならない。

 

      すべて児童は、ひとしくその生活を保障され、
     愛護されなければならない。

 

 *児童育成の責任

 

 第二条  国及び地方公共団体は、児童の保護者と共に、
     じづおを心身ともに健やかに育成する責任を負う。

 

 *児童

 

 第四条  この法律で、児童とは、満18歳に満たない者をいい、
     児童を以下のようにわける。

 

  1 乳児: 満1歳に満たない者

 

  2 幼児: 満1歳から、小学校就学の始期に達するまでの者

 

  3 少年: 小学校就学の始期から、満18歳に達するまでの者

 

      この法律で、障害児とは、身体に障害のある児童、
     知的障害のある児童または精神に障害のある児童(発達障害児も含む)をいう。

 

 第二章では、子育て支援事業、保育・助産・母子保護の実施、
障害児施設給付費等の支給、要保護児童の保護措置等の
いろいろな福祉の保障のための施策が規定されています。

 

 第三章では、児童福祉施設や事業等に関する規定が主に明記されていて、
第四章では、主に児童家庭福祉に関する費用の負担について述べられています。

児童福祉法の法改正の背景

児童福祉法は制定されてから、必要に応じて一部改正が行なわれてきました。

 

そして、大幅な改正が行なわれたのは、制定後半世紀を経過した1997年です。

 

大幅な改正は、以下のようなものがありますが、
どの曲も時代の移り変わりによるものが背景となっています。

 

 ・家庭の子育て機能低下に対応した社会による子育て支援の必要性が増えたこと。

 

 ・児童の権利に関する条約の批准に伴う児童の権利擁護に対する意識が高まった事。

 

 ・利用者本位の福祉に向けた社会福祉基礎改造計画の動き。

児童福祉法の改正の内容

 ・保育所入所の手続きが措置入所制度から利用制度へと変更。

 

 ・養護施設が児童養護施設に名称変更。

 

 ・母子寮が母子生活支援施設に名称変更。

 

 ・児童家庭支援センターの親切。

 

 ・児童福祉施設の対象児童と機能の見直しが行なわれた。

 

 ・放課後児童健全育成事業(学童保育)の法定化。

 

このような改正が行なわれましたが、児童福祉法の改正はその後も何度かありました。

 

 ・助産施設及び母子生活支援施設入所の利用制度への変更。

 

2001年11月の改定内容は以下の通りです。

 

 ・認可外児童福祉施設に対する監督の強化。

 

 ・保育士資格の法定化。

 

 ・児童委員の職務の明確化。

 

 ・主任児童委員の法定化。

 

2004年の児童福祉法の改正は以下の通りです。

 

 ・児童問題に対する相談指導体制を充実させるため、
 児童相談所だけでなく、市町村も児童福祉に関する家庭、
 その他からの相談に応じ、必要な調査・指導を行うこととする。

 

  それに伴い、児童相談所は主として
 高度な専門的知識・技術を要する児童相談に応ずる事とする。

 

 ・政令指定都市以外の市も、必要があれば児童相談所を設置できることとする。

 

 ・特に必要がある場合には、乳児院に幼児を、
 また、児童養護施設に乳児を入所させることができることとする。

 

 ・児童養護施設等の児童福祉施設の目的に、退所児童のアフターケアを追加する。

 

 ・受託児童に対する里親の監護・教育・懲戒に関する権限を明確にする。

 

 ・小児慢性特定疾患児童に対する医療の給付を行なえるようにする。

 

 ・家庭裁判所の承認を得て児童相談所が施設入所措置する児童の保護者に対する
 指導について、家庭裁判所が関与する仕組みを導入する。

 

また、2005年には、障害児福祉分野の大幅な改正が行なわれています。

 

この改正は、障害者自立支援法制定に関連したものです。

 

2008年の改正では、「児童虐待の防止等に関する法律」の改正に伴って、
児童福祉法の一部の改正が行なわれています。

 

その中で、今までは任意設置であった「要保護児童対策地域協議会」の設置について、
地方公共団体の努力義務になりました。

 

また、児童虐待の事実確認の立ち入り調査を、
正当な理由なく拒否した場合の罰金額が引揚げられています。

 

2010年の改正では、障害児関連の施設名称を「障害児入所施設」、
「児童発達支援センター」にしました。

 

これは、障害者自立支援法改正を視野に入れた傷害保険福祉施策を見直すまでの間においての
障害児の地域生活を支援するための改正です。

 

 ・障害児入所施設

 

  障害児入所施設は、児童福祉法に規定されていた「知的障害児施設」、
 「知的障害児通園施設」、「盲ろうあ児施設」、「肢体不自由児施設」、
 「重症心身障害児施設」などについて、
 入所による支援を行なう施設として再編されたものを指します。

 

 ・児童発達支援センター

 

  児童発達支援センターは、児童福祉法に規定されていた「知的障害児施設」、
 「知的障害児通園施設」、「盲ろうあ児施設」、「肢体不自由児施設」、
 「重症心身障害児施設」などについて、
 通所による支援を行なう施設として再編されたものを指します。

 

また、今までは規定されていなかった
「精神に障害のある児童(発達障害を含む)」を
障害児に追加しています。

 

2011年の改正では、一時保護についての改正が行なわれ、
一時保護の児童の親権を行なう者、または未成年後見人の意に反する場合、
及び引き続き一時保育を行なった後、二月を経過するごとに
都道府県知事は都道府県児童福祉審議会の意見を聴くことが必要だとされました。

 

しかし、当該児童について親権喪失若しくは親権停止の審判の請求がされている場合は、
この限りではありません。

 

このように児童福祉法は、その時代の社会にあった内容へと改正され、
さまざまな部分が変更されてきました。

 

今後の児童福祉法も、
社会のニーズに合わせたが改正が、されることもあるかもしれませんね。


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